下田新聞は下田の粋な情報を発信するWEBマガジンです。

都会の若者が慕う下田朝定食 ランプハウスには若いうちに行け!

「旨くてリーズナブルなモーニングが食べたい」

みんなの願い、それはグッドなモーニング。

特に下田市観光協会に多いお問い合わせは、

「朝早くからやっている定食屋さんはありませんか?」

だ。

下田ファンの皆様はわかってらっしゃる、オシャレなカフェモーニングではなくあえての定食屋探しだ。

幾つかのグッドモーニング候補がある中で、今回オススメしたいのが昭和36年創業の老舗。

昭和36年は、伊豆半島の新たな夜明け、伊豆急行が開業した年だ。

そんな伊豆半島の夜明けを心地よい灯りで照らしたお店、

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ランプハウス

下田駅からだと徒歩約15分、
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市中を流れる稲生沢(いのうざわ)川の河岸を歩きながら向かうと気持ちが良い。

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目印は、この極太明朝体フォントの「朝定食」看板。
都会から失われつつある美しくエネルギッシュな手描きタイポグラフィーが、「ここでちゃんとごはん食べて行きなさいよ」と優しく語りかけてくれている気がする。

営業時間は朝6時〜14時、
冬季(12月〜3月)は朝7時〜14時まで。
夜営業は要電話予約。

ランチタイムでも朝定食、これは下田あるあるでもある。

駐車場はお店のすぐ近くに2台分用意されている。

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気候が暖かくなってくると、玄関は開け広げられ、

スナックが放つプライベートコミュニティ感と定食屋の放ついらっしゃい感が融合した玄関をくぐると、

そこは、

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和スナック

いい感じだ。
客席は14席。

お母さん
「はい、いらっしゃい」

の声とともに、お母さんはカウンターの奥に消えていく。

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ランプハウスのメニューはこちら。

干物定食を筆頭に、少しずつ左下にメニュー文字が下がっていく。

これは持論だが、メニューの配置には店主の思いが込められていることが多い。

ランプハウスのメニュー配置を分析すると、

干物定食(¥600-)で間違いない。

早速注文

下田新聞
すいませーん、干物定食ください

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もう作ってるよー

少し高さが不釣り合いなカウンター越しにお母さんの声が

下田新聞
「あ、ありがとうございます(笑)」

そして運ばれてきた干物定食がこちら、

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おかずも満載、日本のザ・ソウルモーニング。

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清廉な天城水で仕込まれた豆腐の冷奴と下田市吉佐美産地物野菜のお惣菜盛り合わせ。

この野菜、吉佐美の農家さんが採れたて一番をほぼ毎日近所まで販売にきてくれたものを使用。

この日は、ほうれん草と破竹の和え物とブロッコリー。

さらに、するめを軽く揚げて味付けしたものをトッピング。

都会の若者の多くが、この味にハマるらしい。

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シンプルな目玉焼きと味付け海苔が並ぶと観光地に来たなと感じる。

若者にとってはこれがあるか無いかでだいぶ朝定食の満足度が変わると思われる。

卵が苦手だったりアレルギーをお持ちの方々は、調理前にお母さんに伝えてもらえれば納豆に変更してくれます。

ちなみに先ほどの冷奴も納豆に変更可、どちらもお値段据え置き。

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ごはん、漬物、味噌汁。

50年以上毎日手が入り守られてきたぬか床に新鮮な吉佐美野菜がズボっと漬けられた、ぬか漬け。旨い。

必ずキノコ類が入り、下田のわかめ、玉ねぎなど地物の香りがマイルドに溶け合うおふくろの味、味噌汁。
出汁も地元の鰹節屋さんから調達した素材を使用、徹底的に”地のもの”にこだわっている。

そして、

ファンを掴んで離さないのが朝定食の真打、
鯵の干物。

味の良し悪しは主観や好みであるし、筆者が記事中で何度も「旨い!」と書けば書くほど味気なくなることもある。

そこで、取材中にたまたま来店した下田ファンの言葉を借りて紹介しよう。

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彼女は、20数年前に下田あじさい祭を訪れてから下田ファンとなり毎年6月に仕事を休み下田に宿泊滞在しているという。

今から7〜8年前たまたま立ち寄ったランプハウスを気に入り、以来午前中あじさいを眺め、昼ここで朝定食を食べることがお気に入りとなったそう。

この日もあじさいを観た後にランプハウスにやってきた彼女に話を聞いたところ、

下田ファン
いつも宿泊しているホテルのお食事も美味しいんですが、

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ここの干物はホテルよりも美味しくて

下田ファン
今朝はホテルのバイキングを美味しくいただきました、そこにも鯵の干物はありましたが

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ここに来るので干物は我慢しました(笑)

下田ファン
ここの干物の味を覚えてしまうと、

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よそでは食べられません(微笑)

※あくまで個人の感想です。

そんな干物の美味しさにはワケがある。

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ランプハウスの立地は、俗に下田干物横丁と呼ばれる場所。

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昔ながらの天日干しにこだわる干物屋さんが軒先を連ねる風景は、干物ファンだけでなくカメラファンにも人気の撮影スポット。

ランプハウスの向かい、徒歩6歩の距離にあるのが

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山鶴魚問屋(やまつるうおどんや)

朝早くから魚をさばき、朝日が顔を出し始める頃に天日干しを開始する。

これは豆知識だが、同じ天日干しでも朝日を浴びたものと午後の日を浴びた干物では味わいにかなり差が出るとのこと。

もちろん朝日を受けた干物が一番旨いそうだ。

山鶴の干物ファンも多くイラストレーターの水森亜土ちゃんもファンの一人、

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ここで干物を買うと亜土ちゃん描き下ろしの包装紙で包んでもらえる。
筆者もこの紙が可愛くて鯵の干物をジャケ買いした一人である。もちろん味が良いからだが。

この立地がランプハウス最大の強み。

取材をしていると、また別のお客さん2人連れが入ってきたのだが、話を聞くと富士宮市からあじさいを観にやって来られた初来店のご夫婦。

ご夫妻
干物屋に囲まれているから、いいかもと思った

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すると、筆者の時と同じく注文を聞く前にお母さんはカウンターの奥に入り、

今度はカウンターの奥から緑のカゴを取り出してきた、

そして、

玄関から足を踏み出し外に向かって大きな声をあげた

「はい!ひものー!」

下田新聞&お客さん
!!!!

お母さんの「ひものー!」から15秒ほどたったころ誰かがやってきた、

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山鶴さんからの新鮮干物配達だ!

いや、この流通システムの方が新鮮だ。

この流通システムに名前をつけるとしたら、

Shimoda Amazon Prime

冷凍も冷蔵だって必要ない。

天日干しされた天然干物を一番美味しい状態で味わえる。

もちろん、雨天や仕入れの影響もあるので毎日出来立て鯵の干物が食べられるとは限らないが、2日と置かない新鮮な干物は多くの方々に「これが干物か!」と驚きを与えるに違いない。

この流通革命、下田アマゾンプライムは昭和36年創業時から続いているそう。
智津子お母さんにランプハウス創業時の話を聞いてみた。

お母さん
はじめは伊豆海(いずみ)って屋号で始めたの。
でも市内に3件同じ名前のお店があって年賀状がお互いの店に間違って届いて大変だったから、ある時お店の名前を変えようってなって。

それで平野屋(喫茶店)の旦那さんが考えてくれたのがランプハウス。
朝の灯りにお客さんが寄ってこられるように。

灯台だと大げさすぎる、ランプだけだと温かみがない、だからランプハウスって言われて、すぐに決めたわ。

下田新聞
温かみのある名前で素敵ですね。
店の中にも懐かしくオシャレなランプが幾つかありますね、これは店名を変えた時に買ったんですか?

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お母さん
ぜーんぶ、貰い物。

下田海上保安部ってあるでしょ、そこの部長職は転勤が多くて新しい部長たちも代々よく飲みにきてくれたの。
誰かがランプハウスなのにランプが無いからってお土産にランプを買ってきてくれて、そこから部長が変わるたびどこか鹿児島とか北海道に行った時にランプをお土産で買って持ってきてくれたの。

下田新聞
マイランプみたいでいいですね(笑)
今は夜営業が要予約ですが、昔は夜も毎日?

お母さん
昼と夜両方やってたの。その間に民謡の先生もやってる。

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だからここに三味線があるの。

皮が破れるとどうしてもどんどん買っちゃう、破れて張り替えると高いから(笑)

下田新聞
ランプと三味線が、お店の和スナックの雰囲気を作ってますよね。
それにしても、忙しい毎日ですね。

お母さん
創業当時は7時からお店を開いていたの、そしたらだんだんお客さんから早く開けてくれって電話が来るようになって、それで6時開店にしたの。

下田新聞
それはどんな人たち?地元の漁師さんとか?

お母さん
観光客、夜中車で来る人たちが多い。
前日に電話が来るの、明日6時ごろ下田着くけど空いてますか?って。
「あ、いいよ開けるよ」っていうの。
お客さんは神さんだから「はいはい、どうぞーって」

下田新聞
夜の営業もしていて、朝1時間早く開店って大変ですね。

お母さん
3時半には起きて仕込みしてるし、どっちにしろもう6時には準備はできてたし。
夜の営業は10時か11時くらいまで、片付けをして12時に寝て、3時半に起きるの。
睡眠時間は3時間半、それくらい寝れば上等よ!(笑)
これが私の健康法なんだよ。

下田新聞
こちらのお店、朝は地元の漁師さんで賑わっていると誰からか聞いたんですが?

お母さん
いやいや漁師は来ないわよ、20年も昔は来たけど今は漁師は自分で料理作るから。
観光客がほとんど、特に多いのは海で泳ぐ若い人たち。
海に入る前に朝早くここにきて力をためてから泳ぐの。

下田新聞
海水浴のお客さんとかサーファーとか?

お母さん
そうそう。
海を好きな人は、地のものを食べるっていうのがみんな好きみたい。
「ここは地の物が食べられていいね」って都会の若い子っちが言うの。

下田新聞
若い子って?

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お母さん
20代の。
都会から来た5〜6人の若者がやってきて「こんなの都会じゃ食べられないよー」って言って毎年やってくるの。
本当の手料理だからね、これが食べたくてくるんだって言うの。
「こんなの田舎料理だよ」っていうと「お母さん、これのがいいんだよ、僕っちはこれが目当てで来るんだよ」って。

ご飯お代わりは100円、けどいつも来る人っちにはタダでいいよっていうの。

毎年来るからいいよっていうの。
それを知ってるから頼むの。

あとね、手伝いしてくれると50円サービス。

下田新聞
なんですかそれ?

お母さん
忙しい時はね、お茶出してとか卵割ってとか。
5〜6人で来ると忙しいのをみて、2〜3人の子が手伝ってくれるの。
若い男の子がえらいわよ。女の子はしないわね。

じゃあ会計って、
「あんたっちは手伝ってくれたから50円サービスねっ」
ていうの。そうすると次の年、他の子もやってくれたりするの。
600円と550円の差だけど、喜ぶよ
毎年来てくれるから、やってくれるの。

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下田新聞
毎年来てくれるって嬉しいですね、会うたび成長を感じたりします?

お母さん
もう7年8年も続くとね、子供連れてきて「お母さーん、生まれたよー」って見せてくれる。
かわいいよ、自分の孫みたいに。
で、お相手の奥さんも一緒にお店に来るから、3人になるの。

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天下一品おふくろの味、天日干しの新鮮干物、地元吉佐美の採れたて野菜。

都会の若者は、ここの干物を食べて驚くという。

都会に限らず、本当に美味しい状態の干物を食べられる機会は少ないと思う。

下田ファンの言葉を借りるなら、観光地の方が味に差が出やすいという。

下田新聞は思う、若いうちに美味しい干物を味わってもらいたい。

一度旨いを味わったら、干物を見る目は一生厳しくなるだろうが、それでもいい。

ランプハウスをはじめとして、新鮮で旨い干物を食べられるお店を探すのも旅の醍醐味。

旨い干物に加えて、お母さんの小粋なトーク。

下田のグッドなモーニング。

智津子お母さんは、15年以上下田のボランティアガイドもやってきた。

黒船ペリー来航時のこぼれ話がまた面白く、機会があったらコーヒー(¥400)を飲みながらお話を聞いてみるのもいいだろう。

こないだお母さんから聞いた話は、

「ペリーがやってきた時、地元の子供っちは何を欲しがったか?」

というお話。

答えは、天日に輝く「軍服の金ボタン」だったそう。

金ボタンちょうだいって、子供達がついてまわったそうだ。

こんな面白い話が聞けるのも、お母さんが大の下田ファンだからだろう。

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卒業式に第2ボタンをもらう風習の始まりは、もしかしたらペリーと下田の子供達のやりとりが発祥かもしれない。

金ボタンのお返しは、天日に輝く干物だったりしたら面白い。

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取材先:ランプハウス
住所:下田市二丁目8-3
営業時間:
6:00-14:00  (4月~11月)
7:00-14:00  (12月~3月)
※夜は前日までに要予約
定休日:不定休
TEL:0558-22-2266
駐車場:2台 
座席:テーブル/14席 
アクセス:下田駅より徒歩約15分

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