下田新聞は下田の粋な情報を発信するWEBマガジンです。

ライフセーバーのみなさん1ヶ月半ありがとう!これからも頼みます!下田ライフセービングクラブ

lifesaver-8
朝5時

下田吉佐美ビーチでライフセーバーたちの活動は早朝5時〜5時半頃、ビーチに集合するところから始まる。

lifesaver-1-8
まずは広いビーチを歩き周り、昨晩出たゴミを拾っていく。

lifesaver-1-2
その後朝陽に向かってジョギング。
朝のトレーニングが開始される。

なんとも眩しい。
これは太陽のせいではない、青春の光だ。

lifesaver-1-4
トレーニングは早朝と夕方、基本毎日行われている。
日々鍛えている彼らにとっては、まさに朝飯前か。

lifesaver-7
交代でバシャバシャ海に飛び込んでいく。
ライフセーバーは通常ゴーグルを着用して海に飛び込むのだが、

lifesaver-5
ここ吉佐美区ではゴーグルが手元に無い状態も想定してゴーグル着用無しの訓練を行っている。

このルールは代々受け継がれてきたものらしい。

ちなみに、下田には”下田ライフセービングクラブ”という特定非営利活動法人があり、社会人も大学生もここのクラブの会員となった上で活動を行っている。

lifesaver-10
約1時間程のトレーニングを終え、宿舎に戻る。

lifesaver-1-9
宿舎はビーチの目の前、約30人の大学生ライフセーバーが約1ヶ月半ここで寝泊まりしながら活動を行っている。

ここ吉佐美の宿舎には杏林大学、国士館大学、順天堂大学、成蹊大学、東京女子体育大学、日本女子体育大学など様々な大学のライフセービング部のメンバーが集結しており男女比は6対4。

lifesaver-26
こちらは男子寝室、クーラーもテレビもないシンプルな和室。

海沿いは風があるから、暑い夜も窓を開ければ平気だという。

トレーニング後はシャワーと着替えを済ませ、共有食堂スペースへ。

lifesaver-13
朝食係は当番制、

lifesaver-14
合宿感ほとばしる”食パンタワー”(1人2枚)

lifesaver-16
一人暮らし大学生の定番メニュー”もやしとひき肉の炒め”

lifesaver-19
調理レベル1でありながら間違いなく若者の舌を満足させる”ウインナー、えのき、ベーコン炒め”

他には目玉焼き、マヨ卵、シリアル、フルーツヨーグルト、オレンジジュースに牛乳など。

プロテインドリンクは個別オプションだ。

lifesaver-12
緑黄色野菜が一切無い

が、

黄色いTシャツと赤のパンツで食卓は華やか。

「メニューが毎朝同じで嫌になっちゃいます」

と彼らは愚痴をこぼしつつ、

lifesaver-15
自己流アレンジを加え、

lifesaver-1-10
楽しく会話しながら

lifesaver-22
モリモリ食べる。

朝食が済むと瞬く間に片付けが済み、

lifesaver-25
4つの浜に散らばる準備が行われる。

lifesaver-30
室内や廊下をフル活用しなければならないほど、とにかく人数に対して狭い宿舎。

にも関わらず窮屈な感じがしない。

ブラジルのストリートを思わせる楽しさが伝わってくる。

7時から7時半にかけて、吉佐美区にある4つのビーチ(吉佐美大浜、舞磯浜、入田浜、多々戸浜)に分かれ分散移動が始まる。

lifesaver-31
最初に行われるのは、赤と黄色の旗を立てる作業。

lifesaver-32
その日の風や波の強さ・向きによって旗を立てる位置が変わる。

lifesaver-33
いつもは基本的に一人で穴を堀り一人で立ち上げるというから驚きだ。
この日はオーストラリア人の二人がサポートしてくれた。

lifesaver-34
彼らは下田ライフセービング・クラブと姉妹提携を結んでいる、オーストラリアのNo.1クラブ”マルチドーSLSC”のメンバー”オリー(左)”と”カラム(右)”。

オーストラリアはライフセービング発祥の地、彼らから最先端のレスキュー技術や知識を学び日本一のパトロールを目指すために下田ライフセービング・クラブは毎年交流を行っている。

オリーとカラムも先ほどの宿舎で寝食を共にしている。

冬場には下田からオーストラリアに学生たちが派遣交流される。
lifesaver-1-11
赤と黄色の旗は、ビーチに2本。
この2本の旗に挟まれた空間は監視員・救助員が巡視しているエリアを示し、ビーチで最も安全な”遊泳エリア”。

この遊泳エリアの区分けは、サーフィンエリアとの区別としての意味も持つ。

吉佐美区のビーチは全てサーフィンが可能、そのためサーファー、ボディボーダーと遊泳者が交差する事故やトラブルが起きかねない。

旗の内側を遊泳エリア、旗の両外側がサーフィンエリアとしてルール化することで事故を未然に防ぎ、誰もが安全に海を楽しむことができる。

lifesaver-69
海水浴客がこのエリアの存在を知らずにサーフィンエリアで泳いでいることを監視員が発見すると、救助員がダッシュで駆けつけ移動を促す。

ここで大事なのはコミュニケーション能力。

ある新人ライフセーバーに話を聞いたところ、せっかく楽しんでいる最中の方々に水を差す行為でもあるため話し方にポイントがあるという。

迅速に理解してもらい移動してもらうトークスキルを身につけるのにはまだまだ経験が必要だと話してくれた。

遊泳エリアを超えたところ、例えば岩場の先になるとビーチの監視タワーから全くの死角となる。

lifesaver-42
そんな場所には定期的に見周りを行い、どんな海水浴客が何組いるかの把握を行っておく。

ライフセーバーは既存の知識・経験と、ビーチの文化・特徴、当日の波風・遊泳客の状況を全て把握することで有事を未然に防いでいるのだ。

lifesaver-46
ビーチで起こる怪我の一つに、強風によるパラソルやテントの転倒がある。

lifesaver-60
監視タワーの後方には、広域を見渡せる監視所があり広く異常がないかを常にチェックしている。

この監視所のすぐ前に、

lifesaver-61
このような白い旗が掲げられているのをご存知だろうか。

白い旗は遊泳可、黄色は注意、赤い旗は遊泳禁止を意味する。

夏期期間、下田市観光教会にダントツ多い電話問い合わせは「今日泳げる海ありますか?」なのだが、海の状態を判断し、遊泳可、注意、禁止の判断をリアルタイムで行っているのもライフセーバーの仕事だ。

他にも、
lifesaver-50
ビーチ全体に響き渡るスピーカーアナウンスで、「助けてサイン」のお知らせをしたり、

lifesaver-51
津波サインをお知らせし、遊泳客に命を守る情報を伝達している。

また毎日ビーチクリーンタイムも設けられており、スピーカーで遊泳客に呼びかけると、

lifesaver-53

lifesaver-55

lifesaver-54

lifesaver-56

アナウンスを聞いた有志の方々がゴミを広い監視タワーに集まる。

lifesaver-58
お弁当やお菓子、ロケット花火が目立つ。

筆者が朝方ゴミを拾ったところ、砂浜にめり込んだタバコとロケット花火の多さが目立った。

タバコは灰皿へ、ロケット花火は遊んだ明朝でもいいから心当たりを探し拾ってもらいたい。

ライフセーバーの開設時間は8時〜17時、その前後のトレーニングを含めると5時〜19時過ぎ。

大学生とはいえ、一日中陽に当たり監視に気を抜かず、さらには朝晩の鍛錬も欠かさぬハードなライフセービング活動を行っている人たちがどんな人なのか気になる。

そこで、吉佐美区の大学生約30名のサブリーダーを務める日本女子体育大学の3年生渡部世梨(わたなべせり)さんに話を伺った。

lifesaver-64
太陽に愛されし笑顔

下田新聞
笑顔が眩しくて素敵です。出身はどちらですか?

渡部さん
生まれはロサンゼルス、育ちは千葉県松戸市です。

下田新聞
いきなりハイレベルなプロフィールですね(笑)
高校時代まではどんな部活を?

渡部さん
中学は吹奏楽部、高校は硬式テニスでした。
大学入学してからはラクロスとライフセービング部と迷ってたんですけど、最初に勧誘されて見に行った所がライフセービング部の説明会、そこで見た動画に心を持っていかれました。

下田新聞
どんな動画だったんですか?

渡部さん
なんて言うんでしょう。
ライフセービング活動を知らなかった自分には想像もつかないこんな世界がある!大学生ってこんなことしてるんだ!って未知の世界に出会う動画でした。
誰かの為にこんなになって練習するんだっていうような練習風景だったり、オフは切り替えて楽しそうでもあったり。
熱いこの部活
と思って。

下田新聞
いいですね、熱さに惹かれる感じ。
日本女子体育大学のライフセービング部は下田のビーチだけを担当しているんですか?

渡部さん
いえ、千葉、神奈川、東京、静岡など16、17のビーチがあります。
まず部活に勧誘されて、部活に入ります、そしたら次に先輩たちから浜勧誘が待ってるんです、自分たちの浜に来てよって。
そこで、自分が行きたいビーチを選ぶんです。

下田新聞
ということは、在学4年間担当する浜は一つということですか?

渡部さん
はい、他の大学もそういうシステムなんです、面白いですよね。
4年間所属する浜を選ぶ為にこっちも真剣に選びますし、先輩達側も後輩を選びます。
同じ浜に行けるのは一学年に1人か2人なので、縦の関係の方が濃くなります。

下田新聞
下田の浜、その中でも吉佐美の浜を選んだ理由は何ですか?

lifesaver-1-12
渡部さん
厳密にはまず下田ライフセービングクラブに所属するところから始まるので、白浜や弓ヶ浜とかに割り当てられることもありえますが、私は吉佐美で希望を出しました。
なぜなら、

どの浜よりも一番練習日数が多くて、中身もハードだからです。

台風が来ると頭オーバーって言って本当におかしいような波が入ってくるんですよ。
下田にある3つの浜の中で唯一吉佐美はそんな日でも練習するんですよ。
波裏スイムっていって。
1本行って1本帰ってくるのにも10分以上かかる位もうアップアップなんですけど。
1年生の時途中でチューブに撒かれて波裏に出られなくて、帰って来て悔しくて浜で泣いて。
それでも突っ込んで突っ込んで。
吉佐美の先輩たちはこんなクレイジーな練習をこなすくらい自分にも厳しくて、やるならとことん頑張りたいって思っていたので吉佐美を選びました。
オフ期間も吉佐美で毎週土日練習ですし。

下田新聞
ヽ(゚Д゚;)ノ!え?!

冬でも毎週吉佐美に?
東京方面から?
他の浜は?

渡部さん
他の浜だと月1回練習とか、月2で海に行ったりとか。
下田の場合は、毎週金曜日学校終わって家に帰りご飯を食べ、夜中の1時2時に渋谷とか池袋に集合し他の大学の先輩や後輩の車とかに乗せてもらい、土曜日の朝5時6時に着くんです。
3年生は8月が終わると仮引退になり、就職活動の関係もあって来られる人来られない人がいますが、1、2年生は毎週来ます。4年生や社会人の方が来ることも多いです。

下田新聞
ということは、ここの宿舎を1年中使っているんですか?

渡部さん
そうです。下田市吉佐美区に貸していただいています。
ここは最高の環境です。

lifesaver-65
暖房冷房も無いし、風呂も無くてシャワーだけ、砂だらけ、遊ぶ場所もない(笑)。
だけどここから海まで本気で走れば10秒かからない、そこが最高!

下田新聞
他と比べて吉佐美の海自体は何か違いますか?

渡部さん
他の浜じゃなくてここを選んだ理由の一つなんですけど、めちゃめちゃ綺麗なんですよ!魚もいて本当に!
水の色も砂の色も違う。すっごいきつい練習をするならすっごいきれいな砂の上でしたくないですか?

下田新聞
そうですね、特にここはゴーグル無しで練習しますしね。
ちなみに、1年中この浜を知っている渡部さんから見て、海が一番綺麗な季節っていつですか?

渡部さん
冬が一番澄んでるんですよ。
でも超寒くて頭がキーンってなっておかしくなります(笑)。
けど綺麗、特に夜は星!
東京じゃこんな星見えない。
星、海、砂浜も全部綺麗。
どんなに辛い練習の疲れもパーっと全部綺麗になくなるみたいな。

.

8月末(白浜は9/3まで)をもって下田のビーチ監視所開設期間は終了。

しかし、9月になっても下田の海は暖かいため遊泳に訪れる方々は多い。

楽しく安全に、自己責任で泳ぐためにはどんなことに気をつけたらいいのか、吉佐美エリアのリーダー成蹊大学3年生の

lifesaver-68
細村尚平さんにアドバイスをもらった。

死亡事故が多いのは波で溺れることよりも、沖の流れが強くて帰って来れないことが一番だと言う。
流されてしまうとパニックになり、溺れてしまう方が多いそうだ。

特にカレント(離岸流)に巻き込まれることが怖いそうなので、沖の流れの見分け方をインターネット(youtubeで「カレント 見分け方」で検索など)で見て知っておいて欲しいとのこと。


参考引用:https://youtu.be/7CqHP81dhoo

あと、下田は日本有数のサーフィンスポットであるためサーファーの方が遊泳者の方に突っ込んでしまう接触事故も起こりうる。
鋭利なフィンが人にぶつかるとスパッと切れて骨が見える事故にも繋がる。
下田には9つもビーチがあるので、サーファーの方が少ないビーチ(九十浜や白浜中央など)を選んだり、特に波が強い時は無理せず海を諦めた方が良いそうだ。

細村さんの海以外のオススメの過ごし方は、カフェめぐりやサーフショップめぐり、あとはサンドスキー場、竜宮窟だそう。
カフェならカフェメローやサウスカフェ、サーフショップだったらリアルとピンクマフィア、バグースがお気に入り。

下田新聞
監視活動は8月いっぱいで終わりですが、その後もほぼ毎週末吉佐美に練習に来ていますよね。
練習しながらも、危険を未然に防ぐように気を使ったりしているのですか?

細村さん
そうですね。
岩場近くに遊泳客が入ってないかとか、サーファーの人でどの人が上手でどの人があんまり上手じゃないとか最初にしっかり見て、事故が起こりそうな人、起こりえる可能性がある人に目星付けてから練習するようにはしてます。
lifesaver-1-13
浜にはレスキュー機材を常に置き、何かあった時には一応誰でも行けるように形はとってあります。

下田新聞
レスキュー機材が置いてあると、ライフセーバーが今日来て訓練してるんだってのも分かるんですね。
下田のビーチにとってはとてもありがたいことです。

細村さん
僕らも支えてもらってるんで、いろんな方に。
今いる後輩や先輩はもちろん、吉佐美区の方々には本当にお世話になっています。
下田ライフセービングクラブは日本では歴史あるクラブなのでたくさんの社会人会員さんがいらしゃいます。
仕事の休みをとって指導しに来てくれたり、飲み物とかたくさん差し入れも頂いています。
ローカルのサーフショップの方とかサーファーの方が海の情報をくれたりすることも助かっています。

下田新聞
細村さんが社会人になっても先輩のように吉佐美に来たり、差し入れしたりしますか?

細村さん
はい、もちろんです!

.

ライフセーバーと聞くと、
「何か起きたらすぐに助けてくれる、泳ぎと救助のスペシャリスト」
そんなイメージが一般的だと思う。

しかし実際には、
「その何かが起きないための知識や経験を持ったスペシャリスト」
だと言える。

彼らは、大学1年からずっと一つの浜を担当している。
夏期は毎日、オフシーズンも毎週。

このことにより、その浜に対する知識や経験が豊富になり、ローカルのサーファーや地元区民とのつながりも得られる。

そのつながりが後輩たちに伝承されることでよりビーチの安全は保ちやすくなっているのだと感じられた。

そんなライフセーバーが、また吉佐美大浜にやってくる。

bigshower-1
吉佐美大浜で毎年恒例で行われているビッグシャワーというイベントだ。
http://www.shimoda-city.info/event/bigshower.html

ノルディックウォーキング、ビーチフラ、サーフィンスクール、ビーチヨガ、シーカヤックなどの体験イベントが盛りだくさん、その他浜辺の花火大会、浜辺の大露店市で多いに賑わう。
もちろん下田の9月はまだ海水が暖かいので海で泳ぐことも可能。

サーフィンスクールが開催されるため、赤と黄色の旗がまた浜に立つ。

また同じ日に、第43回全日本ライフセービング選手権大会 中日本地区予選が白浜ビーチで開催される。

この大会には下田のビーチを担当してくれたライフセーバーたちも出場する。

もし、みなさんがライフセーバーを見かけたらぜひ声をかけて欲しい。

「頑張ってるね」でもいいし、「今日は何を気をつければいい?」でもいい。

人と人とのつながりがあればあるほど、海は安全に美しく保たれると思うからだ。

.

取材先:下田ライフセービングクラブ
WEB : https://www.shimoda-lifesaving.com/

Share (facebook)